沖縄県は「沖縄21世紀ビジョン基本計画」において、「健康・医療」、「環境・エネルギー」の分野を柱とし、産学官連携等により新事業・新産業を創出する知的・産業クラスター形成を目指しています。
公益財団法人沖縄科学技術振興センターは、本県の科学技術振興の中核的な支援機関として、琉球大学、沖縄科学技術大学院大学、沖縄工業高等専門学校、県内企業、県外の研究機関・企業等の連携を促進し、科学技術を基盤とした新製品、新サービスの創出による地域振興に取り組んでおります。
また、産学連携の促進に向けては、県内大学等の研究技術シーズと県内外の企業のニーズをマッチングさせ、県内企業の高度化や県外企業の誘致を図るほか、県内大学の研究技術シーズのブラッシュアップに向けて県外研究機関等とのマッチングも行っています。
公益財団法人沖縄科学技術振興センターは地域に根差し、科学技術振興の観点から産業振興に努めるとともに、県内経済活性化に向けた取り組みを鋭意行って参りますので、より一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
理事長 屋 宏典
沖縄の地理・地域特性を活かした研究推進・事業化支援
多様な生物資源を活かした研究開発支援
広大な海域を有する沖縄県は国内で唯一亜熱帯地域に属し、地理的・自然的特性により生物多様性が高く、医薬品や健康食品、化粧品の原料となる生物資源が豊富に存在しており、産業利用への大きな可能性を秘めています。また、国際的な動向として、生物多様性条約における名古屋議定書の発効により、沖縄に対する期待はますます増大しています。このことから、当センターでは、生物資源を地域振興の核と位置付け、高付加価値な利活用を支援しています。
施策実績
次世代シーケンサーの導入(平成19年度~)
沖縄県の施策と連動し、生物資源の高付加価値利活用を図るため、次世代DNAシーケンサーの導入による解析基盤の高度化及び微生物等の有用遺伝子解明研究を支援しています。
創薬支援に向けた有用微生物等のライブラリー構築支援(平成18年度~)
県の研究支援事業により県内の微生物を探索し体系的に整理し、産業利用を視野においた評価試験を実施し、生物資源のデータベースを構築しました。
成長分野リーディングプロジェクト創出事業(平成29年度~)
上記生物資源のデータベースを基に、平成29年度より琉球大学等による創薬研究に向けた微生物ライブラリーの構築と先端創薬技術開発を支援しています。
地域特性に基づくライフサイエンス分野の研究開発支援
沖縄県は日本本土と東アジア及び東南アジアの中心に位置し、日本とアジア諸国を結ぶ地理的優位性があります。近年、著しく成長するアジア諸国から多くの観光客が入域し沖縄経済の発展を牽引しています。しかしその反面、感染症のリスクが増していることから、感染症研究拠点として注目されています。こうした状況を踏まえ、当センターでは感染症の研究を支援しています。
施策実績
沖縄感染症医療(ATL)研究 (平成24年度~令和3年度)
成人T細胞白血病(ATL)は血液のガンである白血病の一種で、日本の感染者の約半数が南九州や沖縄に局在しています。このような状況下、平成24年度より琉球大学を中心に、ATLの予防・治療を目的とした基礎研究等の取り組みが始動しました。当センターはATLの予防・治療を目的とした研究検査薬・臨床診断技術・新規医薬品の開発基盤形成を図り、沖縄県独自のATL研究拠点の構築を支援しています。
沖縄県感染症研究拠点形成促進事業(平成27年度~令和3年度)
今後想定される各種ウイルスによる危機に対して汎用的に使うことのできる先端遺伝子工学技術を開発するとともに、関連分野の研究機関や民間企業の人的交流を活性化し、医薬品業界等が結集する感染症研究拠点の形成を支援しています。
産学官連携による取り組み支援
沖縄県には、沖縄科学技術大学院大学や琉球大学、沖縄高専などの高等教育機関が集積し、科学技術振興の研究開発拠点として、また人材育成の場として重要な役割を担っています。当センターでは、県内外の企業等のニーズと県内高等教育機関の持つ研究成果や技術シーズのマッチングを促進することにより、県内企業の高度化や企業誘致を図っています。
施策実績
沖縄科学技術イノベーションシステム構築事業(出口志向型研究支援 平成27年度~)
大学等が有する研究シーズと企業ニーズをマッチングする体制を構築し、企業ニーズを踏まえた大学等の研究に開発費の助成やコーディネータによる支援を行うことで、産学連携を促進し、地域企業の高度化や本土企業の誘致を図っています。
知的・産業クラスター支援ネットワーク強化事業(研究シーズ事業化・人材育成支援)
県内大学等の研究者らが研究シーズ等を事業化へ繋げるために必要な専門的知識やノウハウを習得するための実践的セミナーを実施することにより、大学発ベンチャー創出を促進するとともに人材育成を図っています。
沖縄ライフサイエンス研究センター 入居者支援
沖縄ライフサイエンス研究センターは、数々のインキュベーション施設が集積するうるま市州崎に位置。沖縄県におけるバイオ・ライフサイエンス分野の科学技術の振興と産業化を目的とする、県内初のP2レベルi対応のレンタルラボです。センター内の共用実験室に最先端の研究機材が設置され、平成28年度にはマウス等の動物実験が実施可能な施設へと整備されました。当センターでは、沖縄ライフサイエンス研究センターの入居者支援をおこなっております。